国交省、農水省/海岸保全の基本方針改正へ/気候変動の影響反映、検討委が変更案

 国土交通、農林水産両省は、海岸保全政策の方向性を示す「基本方針」を改正する。急激に進む気候変動の影響を踏まえ内容を変更。平均海面水位の上昇や台風の強大化など外力による長期変化の推計を、堤防や護岸など海岸保全施設の整備に反映する。砂浜の侵食対策も予測を重視した手法へと転換する。変更案への意見募集を14日に開始した。10月13日まで意見募集し、年内に国交、農水両相が決裁する予定だ。
 両省が設置した「気候変動を踏まえた海岸保全のあり方検討委員会」(座長・佐藤愼司高知工科大学システム工学群教授)の提言を踏まえて基本方針を変える。変更案は「海岸保全区域等に係る海岸の保全に関する基本的な方針案」としてまとめた。
 海岸は津波や高潮、波浪などから背後地の人命や財産を守る役割を担っている。変更案では防護目標の設定に当たり、それぞれの海岸で気象や海象、地形などの自然条件と過去の災害状況を分析。その上で、気候変動の影響による外力の長期変化などを適切に推算するとした。
 砂浜の浸食対策も強化。継続的に記録したモニタリングデータに基づき将来変化を予測して対策を行う「順応的砂浜管理」の実現を目指す。
 基本方針に基づき、各都道府県知事は地域の実情を踏まえて「海岸保全計画」を作成する。基本方針の改正内容を反映した各海岸保全計画も変更してもらう。

(日刊建設工業新聞様より引用)