建設コンサル大手/広がる海外での基盤固め/相次ぎ現法設立・新事務所開設や業務提携

 大手建設コンサルタント各社が海外拠点の整備に奔走している。9~12月に国内最大手の日本工営をはじめ、オリエンタルコンサルタンツグローバルやエイト日本技術開発が相次ぎ現地法人の設立を発表。応用地質はシンガポールの建設コンサルタントを傘下に収めた。国内事業が堅調に推移し経営基盤が安定している状況を生かし、将来を見据え海外の事業基盤を固める戦略だ。
 エイト日技は9月、ミャンマー最大の都市ヤンゴンに事務所を開設した。経済成長が著しく、堅調な民間投資に加え政府開発援助(ODA)案件も多い。同社は老朽化した既存インフラの管理や多発する自然災害への対応が急務というミャンマーに着目。セミナーや技術支援を通じて人材のネットワークを構築し、インフラプロジェクト関連業務の掘り起こしと受注を狙う。
 日本工営は同月、バングラデシュの首都ダッカ市に現地法人日本工営バングラデシュを設立した。陣容は現地スタッフを含め12人。「ダッカ都市交通整備事業(6号線)」や「同(1号線)」の設計・施工監理業務など、受注した大型ODA案件の対応力を強化するとともに、今後の市場開拓を目指す。受注目標として、3カ年累計(18年7月~21年6月)で約13億円を掲げる。
 オリコンサルグローバルは10月、東アフリカの内陸国・ウガンダに現法のOCGイーストアフリカを設立した。同社は同国南東部のジンジャ県に完成したナイル川源流橋の建設プロジェクトの調査から設計、施工監理までの業務を約10年にわたって担当。現地技術者も育成した。
 現法を設立して現地技術者を雇用し続け、東アフリカを中心に各国の旺盛なインフラ需要の刈り取りを狙う。
 M&A(企業合併・買収)でシンガポールに拠点を設けたのは応用地質。10月に同国の建設コンサルタントであるフォン・コンサルと、同社の子会社で構造物点検を手掛けるFCインスペクションの発行済み株式51%を取得する契約を結んだ。社員数はフォン・コンサル75人(18年7月現在)、FCインスペクション54人(同)。合算売上高は約11億円となっている。応用地質は海外のグループ企業が提供する優れた計測機器類をフォン・コンサルグループに提供し、共同で東南アジアの建設事業を開拓する。
 このほか海外事業を一段と強化するため、パシフィックコンサルタンツは10月、中国最大のエンジニアリングコンサルティング会社・中国国際工程諮詢と第三国のインフラ整備で相互協力することで合意。今月には米建設エンジニアリング大手のパーソンズ・コーポレーションと、建設エンジニアリングビジネスの共同展開で業務提携した。オリコンサルグローバルも世界最大手の建設コンサルタント・米AECOMと業務協力することで合意した。

(日刊建設工業新聞様より引用)