東京都/強靱化プロジェクト推進へ、23年度予算案に7300億円以上計上

 東京都は2023年度予算案に防災対策をレベルアップする「TOKYO強靱化プロジェクト」関連で7300億円以上を計上する。風水害対策として調節池の基本設計経費を11億円(22年度予算額8億円)に増額。新たな調節池の設計に着手する。整備スピードを上げ、新規調節池(総容量約150万立方メートル)の事業化時期を当初計画の30年から前倒しする。市町村に対しては下水道の強靱化を支援する。
 10日に開いた23年度予算査定後の会見で小池百合子知事が明らかにした。TOKYO強靱化プロジェクトは、風水害のほか地震や火山の噴火などに対応するための具体策を盛り込んでいる。40年代を目標にハード・ソフト両面で都の防災力を高める。総事業規模は15兆円で、このうち6兆円を今後10年で投じる計画だ。
 基本設計に着手する調節池は「仙川第一調節池(仮称)」。小金井市や武蔵野市などを流れる1級河川・仙川に整備する。貯留雨量は約4万立方メートルの規模になる。22年度予算では別の調節池の基本設計新規着手などに8億円を充てていた。将来の気候変動に対応するため、調節池を含めた河川施設の新たな整備方針も23年度内に策定する。都の総合的な治水対策を定めた「豪雨対策基本方針」の見直しも急ぐ。
 下水道の強靱化に向けては、市町村による浸水・震災対策を財政と技術の両面でサポート。23年度予算案に「市町村下水道事業強靱化都費補助」として20億円を盛り込む。下水管の排水能力向上につながる改修や、単独処理場などの耐震化に向けて取り組む市町村に必要費用の2分の1を補助する。さらに市町村向けに勉強会などを開き、都下水道局が保有する技術やノウハウを伝える。
 発災時に傷病者や物資を輸送する「防災船」4隻の設計と建造に23年度着手。関連経費として4億円を計上する。24年度に大型船2隻、25年度に小型船2隻を完成させる。平常時には防災訓練を行い、災害対応力を高める。水上バスとしての活用も検討する。

(日刊建設工業新聞様より引用)