東北整備局/21年度事故防止対策方針/死亡災害ゼロ達成目指す

 東北地方整備局は2021年度の工事事故防止対策方針をまとめた。前年度に同局の工事現場で発生した事故の要因を踏まえ、本年度の目標には「死亡災害ゼロ、労働災害が多い『予定外作業』『省略行動』を徹底排除」を設定した。事故の割合が高い新規入場者向けの対策を強化。ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)といった最新技術も事故防止対策に積極活用していく。
 本年度の工事事故防止に向けた重点取り組み方針として▽重大事故の危険性がある現場の対策強化▽予定外作業、省略行動の排除に向けた取り組み強化▽新規入場者への対策強化▽物損公衆災害防止対策の徹底▽ICT、IoTを活用した事故対策推進▽新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の徹底-の6項目を列挙した。
 東北整備局によると、前年度は同局の工事現場で墜落・転落による重傷事故が4件発生した。死亡災害はゼロだったが、引き続き墜落・転落や建設機械と接触するような重大事故の発生リスクがある現場では対策を重点的に講じる。
 前年度は独断でルールとは異なる作業を実施した予定外作業や周囲の安全確認などを怠った省略行動による事故も多かったという。予定外作業の重点対策では、予定外作業が必要になった場合の作業中断ルールを明らかにする。省略行動の重点対策では、機械・工具の使用前に作業範囲周辺の安全確認をルール化するほか、省略行動につながりやすい遠回りで不便な移動などが発生しない環境整備にも努める。
 新規入場者向けの対策では、安全教育の充実や一人作業にならないための安全巡視を強化する。背景には前年度に発生した工事事故の3割で新規入場後1カ月以内の作業員が関わった状況がある。
 最新技術も積極的に活用。建設機械との接触事故を防ぐため、作業員接近時の警報・機械停止機能があるICT機器を導入する。現場には定点ウェブカメラを設置して現場内作業を常時撮影。受注者本支店や現場事務所で監視し、事故の防止や指導を徹底する。安全教育訓練では効果を高めるため、VR(仮想現実)の活用を進める。

(日刊建設工業新聞様より引用)