海建協/相川善郎新会長ら会見/受注規模2兆円早期回復へ、東南アジアの情報収集注力

 海外建設協会(海建協)の新会長に相川善郎大成建設社長が就任した。会員企業の海外受注はここ数年右肩上がりで推移し、2019年度には過去最高となる2兆円を突破した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で20年度は需要が急減し、前年度比46%減の約1兆1000億円に落ち込んだ。各地域・国の動向を見極めつつ、会員企業が受注活動を再開できるよう支援していく。政府開発援助(ODA)案件の形成をにらみながら制度改善などを訴えていく。
 東京都内で4日に会見した相川新会長は「わが国の建設企業による海外展開を的確に後押しできるよう力を尽くしていく」考えを表明した。
 新型コロナは収束の兆しを見せず、世界経済の先行きを見通すのは難しい。会員企業が関わる海外プロジェクトの遂行にも暗い影を落としている。厳しい事業環境にあって相川会長は「質の高いインフラ整備」に対する潜在的需要は大きく、「わが国が誇る高い技術力に寄せられる期待は多岐にわたる」と強調した。
 コロナ後の世界情勢を見据え、海建協は▽政府のインフラ輸出戦略に沿った事業活動のさらなる充実▽海外建設関係団体との交流・連携活動の推進強化▽海外建設市場の各種制度、環境整備への貢献▽わが国建設企業の認知度向上と競争力増進に資する各種情報発信-の4点を注力事業に設定した。
 昨年10月に新型コロナへの対応で緊急要望を外務省と国土交通省、国際協力機構(JICA)に提出。相川会長は要望へのフォローを確実に実施する考えを示した。海建協会員の受注はアジアが過半を占めている。中でも東南アジアの比重が大きい。「地域・国ごとに状況が異なる。こまやかに情報収集と分析を行い、国内への情報発信を強化していかないといけない」と力を込めた。
 今後の受注見通しについては「現在の国内市場を考えると国内での大幅な拡大は難しい。できるだけ早い内に一昨年の2兆円の水準に向け受注高を高めていけるようにしたい。コロナ対応とともに、契約関係に対するフォローを進めていくことが重要だ」と訴えた。
 18年5月から3年間会長を務めた蓮輪賢治前会長に対し、「緊急度の高い課題への対応を中心に強力なリーダーシップを発揮してもらった」と謝意を示した。副会長として会長を支える蓮輪前会長はミャンマー政変など世界情勢を注視。「会員各社やネットワークで情報をキャッチし、新会長を手伝いたい」と語った。

(日刊建設工業新聞様より引用)