竹中工務店/鉛不使用の放射線遮へいボード開発/人体の安全に配慮

 竹中工務店と吉野石膏は10日、鉛を使わない放射線遮蔽(しゃへい)ボードを共同開発したと発表した。放射線のうち主にガンマ線とエックス線に対して優れた遮蔽性能を発揮する。しなやかで粘り強い材質で、施工時に割れにくい点が特徴。放射線治療を実施する高度先進医療施設や研究施設などの壁、天井、床面に適用できる。1件の施設に導入済みだ。
 開発した「RadBoard-X」は幅910ミリ、高さ1820ミリ、厚さ15ミリのサイズで、重量が約47キロ。石こうや高濃度の重晶石などが材料。厚さ1・5ミリの鉛と同等のエックス線遮蔽性能を持つ。高い放射線遮蔽性能を確保する一方で、人体に有害な鉛を使用しないため人体と環境に優しい建材という。
 鉛を使用した従来のボードと比較して施工性が高く、作業に使いやすい点が特徴。鉛と石こうボートを重ね合わせた従来の遮蔽ボードは、ボードのつなぎ目から放射線が漏れないよう鉛テープでつなぎ合わせるが、テープを張るには専門技術が必要だった。RadBoard-Xは専用のパテ材を使えば簡単にボードがつなげる。
 ボードは不燃材料のため、幅広い内装制限に対応可能。さらにボードを重ねたり、従来の鉛ボードに重ねたりして使用できるなど、多様な遮蔽仕様に応じた施工が可能だ。通常の石こうボードの場合、施工時に自重で割れてしまうケースがある。RadBoard-Xは表裏両面にガラス繊維不織布を入れることで割れにくくなり、施工のしやすさが向上した。
 近年、がん治療などに対応した最先端の放射線治療室を設ける医療施設が増加している。放射線遮蔽ボードのニーズも高まっており、今後は人体の安全に配慮が求められる施設のリニューアル工事や新築工事で積極的に提案する。

(日刊建設工業新聞様より引用)