財政審分科会/防災・安全交付金を個別補助化/高速道無料区間の有料化も

 財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会は16日、19年度予算編成に向けた社会資本整備分野の重点課題をまとめた。防災・減災対策やインフラ維持管理を適正かつ着実に進めていけるよう、より効果的な財政支援や新たな財源確保に関する提案を列挙。事業の優先度に応じた防災・安全交付金の個別補助化や、維持管理費の新財源として高速道路の大幅有料化などを打ち出した。
 防災・安全交付金の個別補助化は、全国各地で頻発・激甚化している災害を踏まえた提案となる。災害に対する安全確保の観点から、優先度が高い地方自治体の事業を対象に適用。個別補助制度への切り替えによる計画的・集中的な支援を求めた。併せて防災・安全交付金の配分では、防災ハザードマップの作成などを基準とし、自治体によるソフト対策の実施状況を重点配分要件とするインセンティブの検討も提案した。
 国が当初予算の一般会計に毎年度計上する災害復旧事業費を一段と増やす必要性も指摘した。分科会後に記者会見した財務省の担当者によると、近年は大規模災害が起こる度に補正予算を編成するケースが相次いでいるという。このため当初予算段階から、十分な事業費を確保しておく必要性が高まっているとの見方を示した。
 高速道路の大幅有料化は、将来にわたる維持管理費の確保策として求めた。現在、国内の高速道路は高速道路会社が整備する有料区間(事業中含む、延長9805キロ)と、国の新直轄方式などで整備された無料区間(同、同3349キロ)があり、同一路線に有料区間と無料区間が混在しているケースも多い。そのため、中長期課題として料金負担の在り方に関する検討を求め、まず有料・無料区間が混在している同一路線の有料化などを求めた。
 このほかに、無料区間として整備された高速道路暫定2車線区間の4車線化を急ぐため、有料道路事業として整備する検討の必要性を提案。自治体によって大きな差がある公営住宅の標準建設工事費を抜本的に見直し、国費支援の効率化を図る必要性も指摘した。
 《社会資本整備分野の重点課題の要旨》
 【防災・減災対策】
 △防災・安全交付金を個別補助化
 △防災・安全交付金の重点配分要件にソフト対策実施状況を反映
 【災害復旧】
 △当初予算で災害復旧事業費増額
 【インフラ維持管理】
 △高速道路の大幅有料化
 △空港整備勘定を維持管理・老朽化対策に重点化
 【インフラ整備】
 △整備新幹線はJR施設貸付料を最大限確保
 △公営住宅整備の補助限度額となる標準建設費抜本見直し
 △有料道路事業として高速道路の暫定2車線区間を4車線化

(日刊建設工業新聞様より引用)