19年度予算編成の議論開始/財務省「日本の社会資本は概成」/公共事業は「質」重視

 国の19年度予算編成を巡る社会資本整備関係の議論が本格的に始まった。財務省は25日の財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会に提出した資料で「日本の社会資本は概成しつつある」と指摘。公共事業は新技術の導入などを前提により少ない費用で最大効果を発揮する「質」が重要になるとの考えを示した。
 財務省主計局が毎年春に財政審分科会へ提出する資料は、翌年度の社会資本整備関係予算編成に関する議論の出発点になる。政府が毎年6月ごろに閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映される。
 社会資本整備関係の19年度予算編成を巡ってはここ数年と同様、人口減少を理由に公共事業を「量」から「質」に転換する考えを打ち出した。その上で、新しい方向性として「社会インフラは概成しつつある」と指摘した。併せて、建設業の業況判断指数が全産業平均を上回り、建設技能労働者の不足が今後高まる可能性があるとした調査データを紹介し、「総需要追加のための公共事業の必要性は乏しい」とも明記した。
 予算編成の基本的な考えでは費用対効果の分析で事業評価を厳格化し、新規事業を厳選。投資効率を高める重要性を強調した。
 インフラ老朽化対策については「現在の予算の水準でも対応が可能な姿が見通せる」とした。その上で、損傷が出る前に修繕する「予防保全」の手法で長寿命化や統廃合を推奨。新技術やPPP・PFIを導入し、維持管理・更新費の増加を抑制するべきだとした。
 社会資本整備関係の予算編成は例年に増して厳しくなる見通し。ただ、建設業の地域の守り手としての役割に配慮した予算額の確保は不可欠ともいえる。
 《19年度予算編成で社会資本整備関係を巡る財務省主計局資料の要旨》
 △「日本の社会資本は概成しつつある」
 △公共事業の評価は「量」から「質」に転換
 △新規事業を厳格化し、公共事業の投資効率向上
 △既存の社会資本ストック最大限活用。ソフト対策との組み合わせ、民間活用による効率化、新技術活用によるコスト縮減で生産性向上と安全・安心確保
 △「総需要追加のための公共事業の必要性乏しい」
 △インフラ老朽化対策は「現在の予算の水準で対応可能な姿が見通せる」

(日刊建設工業新聞様より引用)