ゼネコン協力会トップに聞く・7/前田建設前友会会・橋本茂会長

 ◇車の両輪として前向きに直進
 全国11支部で524社が所属する前友会。土木、建築躯体、建築仕上設備、安全環境の4部会に、本年度から建設女性部会を加えた五つの部会活動を中心に各支部の活動の活性化を図っている。「前田建設とはパートナーとして、横並びの立場で活動している」。担い手確保や働き方改革など重要課題の解決に車の両輪となって挑む。
 --新たに建設女性部会を立ち上げた狙いは。
 「担い手不足の中で、ICT(情報通信技術)による生産性向上が注目されているが、それよりももっと先に女性活躍に取り組もうということ。建設業に対する国民の理解が浅いのは、女性に理解されていないということが大きいと思う。建設業には多くの職種があり、女性が活躍できる場も多い。そういう面でも女性の参画が今後の建設業では必要になる」
 「日本建設業連合会(日建連)も女性活躍の取り組みを推進しているが、われわれ協力業者の底上げがないと行き詰まる。会社側のタイヤだけが強固で、われわれが軟弱だと、車は真っすぐに走らず、蛇行してしまう。車の両輪として一緒にタイヤを動かし、前向きに直進していくための新たな取り組みだ。女性を取り込むパイオニア的な存在になって業界に新風を吹き込んでいきたい」
 --働き方改革をどう見ている。
 「現場が4週8閉所になると当然、労働日数が減るので、日給月給でやっている職人たちの給料は減る。だから給料体系を見直さなければいけない。仮に前田建設が4週8閉所にするからわれわれが職人の給料を上げたとする。しかし土曜日に稼働している現場があって、そこに職人がアルバイトで行ってしまえば休みは増えず、われわれが給料を上げた意味もなくなってしまう。これは前田建設と前友会の取り組みだけでは進められない。まずは給料を上げるための生産性向上の自助努力が必要だが、それだけではなく4週8閉所を現場の条件として、民間発注者も含めた建設業界全体で足並みをそろえて取り組まなければ前に進まない」
 --生産性向上の取り組みは。
 「前田建設では、QCサークル活動という現場の改善活動を前友会と一緒に30年間続けている。ちょっとした工夫が現場の生産性を高めることになる。その観点でいうと、ブレーンストーミングで現場で働く職人たちの意見、考えを引き出すことは重要で、その活動を前田建設が一緒に続けている意味は大きい。今後もこの活動を強化して水平展開していくことで、前田建設独自の生産性の高い施工方法、施工環境が生まれ、それが他社との差別化につながっていくと思う」
 --多能工の有効性は。
 「多能工の話は人手不足に端を発しているという意味では、職種分けが必要な小規模工事には有効な部分もある。一方で、専門性を高めて生産性を上げることで人手不足を解消するという道もあることを考えると、一定規模以上の現場では、専門職の技術を上げることが重要になる。そうしてそれぞれの職種が専門性を高めることが、最初に言った個性を生かして女性が活躍できる建設業にもつながるのだと思う」
 (はしもと・しげる、橋本建設社長)

(様より引用)