全圧連/会員経営実態調査結果/法定福利費確保厳しく、処遇改善・設備更新が課題

 全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連、長谷川員典会長)は、会員企業を対象に実施した15年度の経営実態アンケートの結果をまとめた。社会保険加入に必要な法定福利費の確保状況について、一部の大手得意先以外は法定福利費を内訳明示した見積もりや請求をしても支払われていないケースが大半を占めていることが判明。圧送技能者の賃金・処遇改善、設備更新などを経営上の課題として指摘する声が多かった。
 調査は1989年度から実施している。今回の15年度調査は16年3~7月に行った。会員企業457社のうち273社(回答率59・7%)から回答を得た。
 今回、法定福利費の確保状況について初めて調査を実施。267社が回答し、「法定福利費を見積書に別枠で明示し請求している」が61・4%、「法定福利費を見積書に明示しておらず請求もしていない」が35・2%、「その他」が3・4%となった。
 請求していると答えた164社を対象に聞いた法定福利費の確保状況(「ほぼ取れる」または「一部は取れる」と回答)を得意先別に見ると、スーパーゼネコンが87・6%、大手・中堅ゼネコンが85・6%、地場ゼネコンが62・6%、ハウスメーカー・工務店が39・4%となった。
 年間完成工事高(圧送売上高)の平均は1億4818万円と14年度より約471万円増加した。一方、1社当たりの年間コンクリート圧送量は10万4413立方メートルと14年度より約1万4773立方メートル減少。コンクリートポンプ車の稼働率や1回稼働当たりの圧送量も低下した。東日本大震災の復興需要が一段落した上、技能労働者不足などにより全国的に工事が停滞し、生コンの出荷量も前年割れとなるなど厳しい状況がうかがえると分析している。
 コンクリート1立方メートル当たりの売上高1649円に占める燃料油脂費、消耗部品費、車両修理修繕費の合計は381円(23・1%)。14年度調査(約441円、28・4%)と比べて圧送経費は減少傾向が見られる。
 圧送技能者の年間給与手当平均額は全国・全年齢平均で407万円(14年度414万円)と減少した。技能者数は1社平均10・4人(14年度比0・4人減)。うち20代以下の構成比率は21・8%(3・1ポイント増)となったが、外国人実習生の人数が154人(14年度104人)と大幅に増えているためで、若年者の新規入職が増えているとは言えないのが現状だ。
 調査結果を受け全圧連は、発注者や元請企業などに対し、技能者の確保・育成と設備更新に必要な工事代金や法定福利費の支払いへの理解を求める活動に力を入れていく方針だ。

(日刊建設工業新聞様より引用)