国交省/外国人技能者の足取り把握へ/情報収集事業者にアーク教育システム

 ◇事前訓練モデル事業も3件
 国土交通省は3日、技能実習生として日本の建設現場で作業に従事した外国人の帰国後の所在を把握するため、情報収集を行う事業者を決定したと発表した。併せて、外国人が来日前に母国で受ける事前訓練で、日本式の技能を身に付けさせるなど一歩進んだ取り組みを支援するモデル事業3件も決めた。いずれも外国人材が帰国後に日本で習得した技能を活用することを見据えており、海外に進出する日本企業とのマッチングシステムの構築に役立てていく。
 建設分野では毎年約7000人の技能実習生を受け入れている。だが日本の建設現場で3年間の技能実習を終えた外国人が帰国後に母国でどのような職に就いているかなど、足取りは把握し切れていないという。
 国交省は帰国後の就業状況などを把握することを目的に「外国人建設就労者受け入れ事業に係る情報収集事業者」を募集。4件の応募の中から、教育サービスを提供するアーク教育システム(東京都)を選定した。
 同社は日本語教育を提供している現地の送り出し機関などを通じて調査対象者をリストアップ。タイ、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ネパールの5カ国を対象に、最低180人から最大1725人の外国人材の帰国実態調査を行う。インドネシアでも調査できる可能性があるという。
 「外国人建設就労者受け入れ事業に係る人材活用モデル事業」では、今後受け入れ人数の増加が予想される国を対象に、来日前に母国で日本式の建設技能などを身に付けてもらう先導的な事前訓練となるモデル事業を公募した。6件の応募があり、モデル事業者として▽圏友協同組合(埼玉県)▽マツザワ瓦店(愛知県)▽LIGARE(静岡県)-の3者を選定した。
 建設分野の監理団体となる圏友協同組合は、ベトナムの送り出し機関が13年に現地に開設した建設トレーニングセンターを活用し、日本語や建設技能講習(実技)、安全衛生講習(座学)などを実施する。日本に行くチャンスのない人材にも目を向け、外国人建設就労者を選抜する場にもする。
 フィリピンを対象国にするマツザワ瓦店は現地の職業訓練校と連携し、日本語教育、屋根工事などの付加教育、安全衛生特別教育、CAD基礎教育を実施。利根沼田テクノアカデミー(群馬県沼田市)の指導員を講師に派遣するだけでなく、入国後に同アカデミーで3カ月実習も行う。
 LIGAREは、ベトナムの現地送り出し機関で日本文化や日本語、安全衛生教育などに取り組む。入国後に同アカデミーで3カ月実習させる。帰国後は、太陽光発電事業を行う同社の現地法人(設立調整中)が受け入れ先となり、現地で技能者を育てる役割も担ってもらう。
 両案件とも今後は、17年2月上旬まで事業の実施や事業者への助言・指導を行う。2月上旬~3月下旬に事業の実施結果を評価・分析し、その成果を周知する。

(日刊建設工業新聞様より引用)