振興基金/緊急育成支援事業で躯体系3職種の技能研修実施/現場作業の流れ学ぶ

 建設業振興基金(内田俊一理事長)が厚生労働省から受託した建設労働者緊急育成支援事業で、複数の躯体系職種を組み合わせた技能研修が行われている。千葉・幕張の高度ポリテクセンターで25日から18日間の日程で行われている「躯体系技能者総合コース」に、とび、鉄筋、型枠の3職種の専門工事業者が協力。未就業者に各職種の初歩的な技能を教え、現場での躯体系の仕事の流れをつかめるようにしている。
 同コースには、30~40代の男性未就業者3人が参加。25日の入校式とガイダンスを経て、26~27日に鉄筋、28~29日に型枠、30日~10月1日にとびの順番で、それぞれの専門工事業者が現場に必要な技能の初歩を教える。
 鉄筋の訓練で実際に組み立てた型枠用柱をベースに、型枠の訓練で加工した型枠の建て込み作業を体験。これにより、コンクリートを打設する前段階までの一連の作業を体験できるようにする。とびの訓練では、指導を受けながら足場の組み立て作業を行う。
 最初の鉄筋では、特に鉄筋同士を組み合わせる際にハッカーを用いて結束させていく作業が重視された。訓練生たちは、戸惑いながらも作業を繰り返すうちに、次第に慣れた手つきで結束できるようになった。型枠用柱を組み立てた後、2級鉄筋技能士検定試験用の組み立てにも共同で取り組んだ。
 型枠の研修では、鉄筋の研修で組み立てた型枠用柱の形状に合わせて型枠材を加工し、実際に建て込むまでの一連の作業を体験した。講師を務めた大州建設工業(千葉市)の石崎晶幸氏(工事部主任兼採用担当)は、「躯体の一連の仕事を理解できる意味のある取り組みだ」と今回の研修の企画を評価する。
 鉄筋の講師を務めたダイニッセイ(千葉県市原市)の中山浩一氏(総務部長兼工務長)は、2日間という短い日程の中で「鉄筋工への興味と実際の作業の達成感を味わってもらえるようにしたい」と講義に臨んだ。資材の搬出入や清掃などもすべてが重要な現場作業であることを実感してもらえるよう、訓練生と一緒になって取り組んだ。
 千葉県鉄筋業協同組合の池田慎二理事長(ダイニッセイ社長)は訓練生に、「見違えるほど上手になった。皆さんの将来に役立つ講習となるよう、最後まで頑張って取り組んでもらいたい」とエールを送り、訓練を終えて建設業界に入職することに大きな期待を寄せた。
 躯体系3職種の訓練後は、労働安全衛生法に基づく玉掛け、小型移動式クレーン、高所作業車、丸のこの扱いといった講習を受け、現場入場に必要な資格取得にも挑戦する。
 建設労働者緊急育成支援事業は、未就業者にさまざまな職種で用意した技能訓練を施し、就職支援をセットで行う。5年計画の初年度となった15年度と16年度に振興基金が業務を受託。地方の建設業協会や専門工事業界などと連携を取りながら、全国で事業を展開している。15年度は約600人が受講し、400人超が建設会社に就職。本年度は1000人を目標に訓練を実施する計画だ。

(日刊建設工業新聞様より引用)