日建連/建築パンフ「多様な発注方式」を7年ぶり改訂/ECI方式追加

 日本建設業連合会(日建連)は、建築工事の顧客向けパンフレット「多様な発注方式」を7年ぶりに改訂した。建築プロジェクトのニーズの多様化や法改正といった社会情勢、発注環境の変化を踏まえ、内容を拡充。施工者が設計段階から関与するECI方式を追加し、各発注方式の特徴や留意点などを詳細に記載した。ゼネコンが実力を発揮しやすい設計施工一貫方式の進め方や受発注者の取り組みなどもまとめた。
 パンフレットは、建築設計委員会(尾崎勝委員長)の設計企画部会と傘下のワーキング(WG)が主体となって作成した。日建連のホームページに掲載し、会員企業を通じて建築工事を計画する顧客にアピールしていく。
 改訂版は、総合建設会社に発注する「設計施工一貫方式」、設計と施工を総合建設会社・設計事務所の共同体に発注する「共同設計による設計施工一括方式」、設計者の基本設計を踏まえて実施設計と施工を総合建設会社(実施設計施工者)が行う「実施設計からの設計施工一括方式」、設計者の実施設計に基づき総合建設会社が施工する「設計施工分離方式」に、ECI方式を加えた五つについて記載してある。
 それぞれの工程、長所・留意点を説明し、ECI方式は資機材調達や施工方法に関する技術協力者の提案を生かし、工期や工事費の整合が期待できることを長所に挙げた。一方、留意点には技術協力者の責任や対価を明確にした契約の締結、技術協力者との交渉が成立しない場合の措置などが必要とした。
 設計施工一貫方式については、顧客の思いに応え、新たな価値の提供と最良の建築を実現できるという視点で、事業のリスク低減、早期引き渡し、更新・改修を含む最適なサービスの提供につながるメリットを紹介してある。「納得しながら進めたい」など、顧客の要求をどう実現するかをQ&A形式でも記載した。
 従来のパンフレットは、建築プロジェクトを進める顧客に役立ててもらおうと旧建築業協会が2011年に作成した。プロジェクトの内容の高度化、改正建築士法による設計・工事監理契約の明確化、多様な発注方式の検討・導入をうたった改正公共工事品質確保促進法の施行などに伴い追加資料を作成してきたが、「最良の方式の選択」(WG担当者)を促そうと改訂することにした。

(日刊建設工業新聞様より引用)