日建連/民間工事の契約改善決議/会員企業に対応要請、約款のリスク分担再周知

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は21日の理事会で、民間建設工事請負契約の改善とともに新たに策定した「民間工事指針の活用方策」に沿った契約行為の実行を決議した。国土交通省が策定した「民間工事指針」を踏まえ、民間の建築・土木工事での適正な契約条件の確保に取り組み、価格と工期を含む適正な工事請負契約の実現を目指す。活用方策は会員企業が行う発注者との契約交渉や協議に役立ててもらう。
 活用方策は、建物の安全と品質を確保すると同時に、建設工事の担い手確保・育成の実現を目的に策定。民間工事指針に基づく契約行為を実行するに当たっての考え方や対応のモデルを示した。併せて、指針が発注者との「協議項目リスト」に列挙した6分野・12項目について、「民間建設工事標準請負契約約款(中建審民間約款)」と「民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款(民間連合約款)」という標準約款に基づく「リスク分担の考え方」も示している。
 活用方策では、民間工事指針が不動産協会や民間発注者団体に対応を求め、工事の品質確保の責務を発注者が負うことを定めていると明記。指針の内容と対応する形で、標準約款と異なる事項などについて受発注者が十分に協議することの正当性をうたっている。適正な見積もり条件の提示と十分な協議、詳細情報の提供、標準約款と異なる条件についての協議を発注者に求める際に参考となる指針の内容も示している。
 契約交渉の対応方法なども盛り込み、見積もり提出段階では、見積もりの対象から除外する項目を列挙した上で、再見積もりが必要になることや、標準約款にあるリスク分担を前提としていることなどを明示するのが望ましいとした。
 「調査不足・不備による責任および負担はすべて施工者が負う」といった注意が必要な条件を例に挙げ、指針の対応事項と同時に「発注者が負担することを基本」とするなど条件の記載例を示した。リスク分担の考え方では、12項目ごとに標準約款に基づくリスクの負担者をあらためて明らかにし、発注者との協議に活用できるようにした。
 日建連は、工期、価格、契約のダンピングの是正を会員企業に求めており、理事会後の記者会見で中村会長は、決議と活用方策による適正な請負環境の構築への期待を示した。山内隆司副会長は、国交省の対応に謝意を示した上で、「仕事が減った時に腰砕けでは申し訳ない。働いている人を守るためにしっかり対応を呼び掛ける」と決意を述べた。宮本洋一副会長は土木工事の片務契約の是正に意欲を見せた。

(日刊建設工業新聞様より引用)