東京三会建築会議/オーダーメード設計コンペ提案/ステージごとに別々の建築士参加

 東京建築士会、東京都建築士事務所協会、日本建築家協会関東甲信越支部で組織する東京三会建築会議は、公共建築の設計者選定に「オーダーメード設計コンペ」と呼ぶ新たな方式を導入する提案をまとめた。建築物の設計監理に必要な多様な技能を一人の建築家・建築士や一つの組織に求めず、必要なステージで別々の建築家・建築士や組織に参加してもらう体制を構築。事業主側に立つ全体統括専門家がプロジェクトマネジャー(PM)として、全体を管理する仕組みを想定している。
 新たなコンペ方式は、3日に東京都建築士事務所協会(大内達史会長)らが自民党東京都支部連合会(下村博文会長)に行った要望活動で紹介した東京三会建築会議による提言「東京構想ポスト2020」に盛り込んでいる。
 主に公共建築で優れたアイデアを求める設計コンペや設計プロポーザルは、若手建築家の登竜門とされてきた。ただ最近では、設計監理の実務や竣工後に発生する問題などを考慮し、実績のない建築家・建築士は登用されにくくなっている。
 オーダーメード設計コンペは、発注者の負担軽減と提案者の資格要件の緩和を両立させ、建築家・建築士の職能をより効果的に活用できる仕組みとして提案した。多様なタイプの建築家・建築士が「アイデアを生かせる基本計画・基本設計」「実績を生かせる実施設計・監理」「調整能力が求められる調整(ワークショップ)」といった得意分野ごとに参加可能な設計コンペを行い、最適な組み合わせを事業主に提供する。
 コンペの編成・実施・選定・遂行業務といった全体のコーディネートは、「第三者設計コンペセンター」と呼ぶ組織に所属する専門家が手掛ける。コンペを実施する事業主の膨大な準備や失敗のリスクの大部分を専門家が受け持つ。試行段階では、東京三会建築会議が同センターの役割を担い、いずれ複数の主体が行えるようになることを想定している。
 建築家・建築士にとっては、規模・状況に応じて多様な参加機会を選べる仕組みとなり、それぞれのキャリアに応じて職能を社会に還元し続けることができるようになる。PMの立場で参加する建築家・設計士にとっても、建築事業の全体像を把握することで、より事業主の期待にかなう業務を行うことが可能となるとみている。

(日刊建設工業新聞様より引用)