海産研/洋上風力の人材育成で産学連携の協議会創設、マッチングや理解醸成など

 海洋産業研究・振興協会(海産研、清水琢三会長)は、洋上風力発電事業を支える人材の確保・育成に産学連携で取り組む「洋上風力人材育成推進協議会(ECOWIND)」を立ち上げる。経済産業省の協力の下、新たな人材育成の枠組みに賛同する有志企業9社と21日付で覚書を交わした。産業界と、高等専門学校や大学など教育・研究機関のシーズ・ニーズのマッチングに加え、洋上風力発電に対する社会全体の理解醸成や各地の産学連携活動のネットワーク化に取り組む。
 2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す政府は、洋上風力発電の事業拡大を推進している。沿岸部では着床式を先行的に整備。排他的経済水域(EEZ)での発電設備の設置許可制度の創設などを見据え、今後は浮体式を中心に市場規模が広がることが予想される。
 発電設備の建設や数十年にわたる維持管理など、洋上風力のさまざまな分野で事業に携わる担い手の確保・育成が急務となることから、企業と学生をつなぐ場を新たに設ける。海産研が事務局を担い、産業界と教育・研究機関の調整窓口として対応する。
 洋上風力業界が就職先として十分認知されていないため、産業界からの働き掛けを強める。取り組み例では▽各分野の人材育成に対するシーズ・ニーズの整理▽学生向けの現場見学・インターンシップの機会提供▽出前授業の企画と講師派遣▽カリキュラムの検討協力▽補助教材・広報コンテンツの作成-などを想定。国立高等専門学校機構の「高専発!Society5・0型未来技術人財育成事業」とも連携していく。
 ECOWINDを中心とした枠組みへの参画を希望する企業・団体を募った上で、具体的な運営スキームや活動内容などの詳細は今後詰める。産業界側は発電事業者のほか、EPCI(設計・調達・建設・設置)、O&M(運用・保守)、メーカー、商船・海洋、調査・分析など、幅広い業種からの参画を想定している。問い合わせは海産研のECOWIND担当(メールrioe@rioe.or.jp、電話03・3581・8777)まで。
 現時点の有志企業9社はグリーンパワーインベストメント、丸紅洋上風力開発、九電みらいエナジー、三菱商事洋上風力、ENEOSリニューアブル・エナジー、JERA、三井物産、住友商事、東京電力リニューアブルパワー。

(日刊建設工業新聞様より引用)