清水建設/山岳トンネル遠隔立会システム開発・適用/ライブ映像使い遠隔地から検査

 清水建設は25日、山岳トンネルの出来形検査などを遠隔地から可能にする「トンネル遠隔立会システム」を開発したと発表した。タブレット端末を使ってトンネル坑内のライブ映像を見ることで、現地に行った場合と同様に検査できる。西日本高速道路会社発注の「湯浅御坊道路川辺第一トンネル北工事」(和歌山県)に試験適用。発注者の検査員が現地に赴く時間や手間が大幅に削減できたという。
 システムはテレビ会議機能、検査値入力・立会写真撮影機能がある遠隔検査ソフト、坑内の施工者が持つタブレット端末、発注者の工事事務所に設置する閲覧用パソコン、サーバーパソコン、トンネル内の無線通信網などで構成する。
 使い方は発注者の工事事務所にある閲覧用パソコンと、トンネル坑内のタブレット端末をインターネットでつなぎ、タブレット端末で撮影した坑内のライブ映像と施工者が入力する施工状況・検査値などのデータを両者で共有しながら品質・出来形検査を進める。施工者が検査データを付与した立会写真を撮影し、発注者側が承認ボタンを押せば承認手続きが完了する。
 承認後の写真・帳票データはサーバーパソコンに保存され、ウェブで閲覧・ダウンロードが可能。工事関係者間でリアルタイムに検査結果を共有できる。
 湯浅御坊道路川辺第一トンネル北工事の吹き付けコンクリート厚検査と、覆工コンクリートの圧縮強度試験に適用した。コンクリート厚検査ではトンネル坑内で施工者が発注者の遠隔指示に従って専用の計測機械を使って厚さを計測。発注者は映像を通じて計測結果を確認した。
 現場と発注者の工事事務所は約50キロ離れている。システムを適用することで現場と事務所を往復する時間や、移動時間を含む検査時間を確保するための日程調整の手間などを削減した。
 トンネル遠隔立会システムは、同社が開発を進めるセンシング技術を使った安全管理や人工知能(AI)による建設機械の自動運転を実現する次世代型生産システム「シミズ・スマート・トンネル」を構成する技術の一つ。20年までに総額20億円を投資して全体システムを完成させ、現場での検証開始を目指す。

(日刊建設工業新聞様より引用)