熊本地震/国交省有識者委、建築物被害原因分析で最終報告/現行耐震基準は有効

 熊本地震で多発した建築物の被害原因を分析してきた国土交通省の有識者委員会は9月30日、2000年6月に強化された現行の建築基準法の耐震基準が倒壊・崩落防止に有効だったと評価する最終報告をまとめた。焦点の一つだった国交相告示で地域別に定める設計震度の補正(割引)係数「地震地域係数」の見直しは、特に大きな被害が広がった木造建築物で係数の大小が要因となって倒壊するような被害は確認されなかったとして、中長期的な検討課題に位置付けた。
 最終報告では震度7の揺れが2度起きた熊本県益城町にある建築物の被害状況をまとめた。1981年6月以前までの旧耐震基準で建設された建築物の91・2%(785棟)に大小何らかの被害が出たが、00年6月に強化された現行耐震基準を満たしたS造の建築物にはほとんど被害は見られず、RC造の建築物の被害はゼロだった。
 最終報告ではこれらの被害結果を踏まえ、旧耐震基準の木造建築物を中心に耐震化を促す必要性を指摘したが、地震地域係数の見直しは当面見送るとした。
 国交省は、5日に開く社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)建築分科会の建築物等事故・災害対策部会で最終報告を受けた今後の対応方針を報告する。

(日刊建設工業新聞様より引用)