福岡市/香椎川直下に地下河川整備/流下能力向上し浸水被害軽減

 福岡市は東区の香椎地区の浸水被害軽減に向け、準用河川である香椎川の直下に地下河川(トンネル)の整備を計画している。河床から深さ約8メートルの地下に延長約720メートル、内径約4・5メートルのトンネルをシールド工法で施工する。本体工事に先行して一部河川の改良工事を進めており、2021年度中に改良工事を終える見通し。22年度以降の早期の本体着工を目指す。
 事業名は「香椎川事業間連携河川事業」。国の補助制度である準用河川改修事業を活用し、下水道事業と連携して河川改修を進めている。14年度に補助事業採択された。
 事業対象区間は香椎川の上をJR香椎線とJR鹿児島本線が横断し河道の拡幅が難しいため、地下河川方式を採用する。市内に地下河川を整備するのは初となる。
 上流側の香椎川と宮北川の合流地点付近に流入施設、下流側の香椎川と西鉄貝塚線が交差する箇所付近の土地区画整理事業地区内の公園予定地に放流施設をそれぞれ設置。香椎川の水位が上昇した場合、地下河川に毎秒20トンの河川水を流入させ下流に排出することで本川の水位上昇を抑える。
 香椎川の流入施設付近は河川上に道路が張り出しているため、工事用車両の通行や完成後の地下河川の維持管理を考慮し、延長約110メートルの区間をボックス構造に改良する。改良工事には20年度に着手しており21年度中に完成する見通し。
 トンネル本体工事は放流施設側に発進立坑、流入施設側に到達立坑を設け、下流から上流に向かって掘削を進める。立坑を含む工事期間は4年程度を見込む。詳細設計はエイト日本技術開発が担当し20年度に完了した。
 東部広域拠点に位置付けられている香椎川流域の香椎地区は急速な市街化の進展に伴い雨水の流出量が増え、1999年の水害など浸水被害が度々発生している。全国的に短時間の集中的な豪雨が頻発していることもあり、早期の流下能力不足の解消が求められている。

(日刊建設工業新聞様より引用)