青森県弘前市/弘前城石垣大規模修理事業/石垣解体工事に着手、施工は大林組JV

 国の重要文化財に指定されている弘前城(青森県弘前市)で既存石垣の解体工事が始まる。準備工として29日に雑木の刈り払いに着手した。施工は大林組・南建設・嶽開発JV。解体に併せて、市は発掘調査や石垣の3次元モデル化なども行う。解体完了後は2工区に分けて積み直しを実施する計画。天守台付近の石垣が完成し天守を元の位置に曳き戻すまで5年、全体完成に10年を要する見込みだ。
 弘前城の石垣修復は14年度から10年がかりで計画している。工事のため内濠の水を抜き始めたのが14年秋。濠を埋め立てた後、15年に天守を移動させる曳家工事を実施し、約1年がかりで石垣解体に向けた調査や準備作業を行っていた。
 大林組JVが施工する「史跡弘前城跡本丸石垣解体工事」は石積み解体工や石積み修復準備工、仮設工などで構成。施工対象面積は1187平方メートルで、工期は19年3月20日。受注金額は5億3820万円。
 市は石垣解体の本格化に連動し、10月30日と11月3日に「弘前城本丸石垣解体プレイベント」を開く。解体する石垣を元の位置に戻すための「番号付け」作業体験、発掘調査説明会などを予定。明治以来1世紀ぶりに行われる石垣修理を、市を挙げたイベントとして盛り上げ地域振興につなげるため、さまざまな企画を用意している。
 弘前城は、天守などの荷重で石垣が外側に膨らみ、放置すると地震などの衝撃で崩壊する危険があった。市は08年に「弘前城趾本丸石垣修理委員会」を設け、対処方法などの検討を開始。天守真下から本丸東面までの石垣約100メートルと、南面約10メートルの石垣を修理することにした。石垣解体の準備として昨年5~10月に高さ14・4メートル、総重量約400トンの天守を約80メートル離れた仮天守台に移設する曳家工事が行われた。

(日刊建設工業新聞様より引用)