鹿島/シールド工事の掘進管理全般支援システムを開発/トラブル予兆に警報

 鹿島は15日、シールド工事の掘進管理全般をサポートする新システムを開発し、実工事に適用したと発表した。熟練オペレーターの操作記録などシールド掘進中に得られる膨大なデータを統計処理。データの変動傾向を自動的に分析することで、トラブルにつながるリスクを評価・判断する。トラブルの予兆を警報で知らせるとともに、確認すべきデータ変動や対応策なども表示される。シールド工事の全自動化に向けた取り組みの一つとなる。
 開発したシールド掘進管理支援システム「カジマ・シールド・ジャッジ・アナウンス・システム(KSJS)」では、トラブル発生につながるような施工データの変動状況を分析して、発生リスクを点数化する。地盤変状や掘進不能、セグメント損傷、線形逸脱などをトラブル事象として想定。2段階で警報を表示して、注意喚起を促す。
 経験の浅い社員や作業員であっても、トラブル予兆に対して迅速に判断・対応できるよう支援するとしている。トラブルの予兆を示す掘進データの見落としを防ぎ、早期の対応を促すことにもつながる。
 同システムは、東京都大田区で施工している「東京都芝浦水再生センター・森ケ崎水再生センター間連絡管建設工事その2」(発注者=日本下水道事業団)の泥水式シールドと、茨城県東海村で施工中のガス導管工事(詳細は非公表)の泥土圧式シールドに適用し、有効性を確認したという。
 今後は、同システムの適用現場を拡大するとともに、さらなる高度化を進める。人工知能(AI)の導入も視野に入れている。
 同社は、シールド機の運転指示などを効率的に行うシステム「KaCIM’S(カシムズ)」も開発済み。2023年度のシールド全自動施工技術の本格導入を目指している。

(日刊建設工業新聞様より引用)