CCUS、労務安全システムと連携強化/産学官協議会で重点課題共有

 建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した技能者の処遇改善などについて産学官で話し合う「CCUS処遇改善推進協議会」の会合が東京都内で20日開かれ、中長期的に取り組む重点課題をアップデートし、元請と下請を含む建設業団体や民間発注者団体などの関係者らで共有した。改正建設業法を踏まえ、適正な労務費の確保と行き渡りで処遇改善の好循環を生み出す必要性を強調。下請の業務負担の軽減のため、民間の労務安全システムなどとCCUSの連携強化を図る方針を打ち出した。
 重点課題ではCCUSの推進に向け、公共工事と民間工事を問わず就業履歴の蓄積と能力評価の環境整備を強化する。技能者を大切にする企業の評価制度の創設などで、技能レベルを反映した賃金支払いや手当支給を促進。元請ごとに異なる労務安全システムに合わせて対応せざるを得ない下請の安全書類の作成業務などを、CCUS登録データの共同利用を拡大することで解消する。改正業法を受け国が作成するICT活用の「指針」にCCUSを活用した現場管理の効率化を位置付ける方向だ。
 一人親方対策の推進も柱の一つだ。一人親方が必要経費などが含まれた適正な報酬を受け取れるよう、改正業法の周知や相談体制の構築などで実効性を確保する。企業にとって社員化が負担にならない環境づくりのため、技能者の雇用維持や社員化に伴って必要となる法定福利費の適切な価格転嫁や、工期の平準化を推進する。法定福利費を内訳明示した見積書の提出率を現在より30ポイント引き上げる目標も設定した。
 協議会は国土交通省など行政機関に加え、建設業82団体、建設業関係8団体、民間発注者・設計関係16団体などで構成。冒頭に国交省の塩見英之不動産・建設経済局長は「建設業は大きな曲がり角にある。将来を支える人材を確保できる制度改革を総合的に進めなければ次の世代の建設業はない」との認識を示した上で、CCUSを的確に運用した処遇改善の前進に協力を呼び掛けた=写真。

(日刊建設工業新聞様より引用)