JR東海/新幹線の脱線防止ガード向け検査装置開発/一晩で50キロ検査可能に

 JR東海は東海道新幹線の軌道部で設置が進む脱線防止ガードの検査業務で、より効率的・高精度に検査できる装置を開発した。レーザーを複数方向から照射してレールとガードの状況を自動で測定する。既存の保守用車(レール探査車)の前後に装置を搭載すると、一晩の検査走行で約50キロの検査が可能という。17年度の運用開始を目指している。
 同社は東海道新幹線の地震時の脱線・逸脱防止対策を09年から推進中。脱線防止ガードの設置済み延長は15年度末時点で上下線合わせて約360キロに上る。
 同ガードの状態を適切に維持するため、同社では年1回、社員が現地で検査を行う。検査内容は▽レールとガードの間隔(高さ、離れ)▽隣接するガード同士の間隔(遊間)▽ボルトの締結状態(緩み)-の3項目。3人1組で定規などを用いて行う一晩の検査距離は1・5キロ程度のため、設置範囲の拡大で検査量も増大し、検査方法の効率化と精度向上が求められていた。
 新開発の検査装置では、在来線軌道・電気総合試験車(ドクター東海)で使用している2次元レーザーを活用。これまで測定範囲がボルトの緩みに限定されていたものを、3項目を同時に検査できるようにシステムを高度化した。非接触で高精度(0・1ミリ単位)に測定可能。東海道新幹線全線を年2回走行する保守用車に搭載することで、測定頻度も高まる。
 研究開発費は0・6億円、装置関係の設備投資額は1億~1・2億円を見込む。

(日刊建設工業新聞様より引用)