IT重説 社会実験開始から564件実施

消費者ニーズを確信し本格運用に向け議論を重ねる


国土交通省は4日、ITを活用した重要事項説明(IT重説)に係る社会実験の第2回検証検討会を開催した。
実施状況やアンケート結果が報告され、本格運用を視野に入れた有識者の意見が交わされた。

2015年8月末から開始した社会実験には、現在303社が参加しており、16年8月末時点で49社が564件のIT重説を実施した。
そのうち個人の賃貸仲介・代理が553件と多く、法人賃貸は9件。
売買は2件にとどまった。

実施件数の多い上位3社だけで425件で、全体の75%を占めていたため、「わずかな実施企業の結果だけで本格運用に移行するかどうかの判断は難しい」という慎重な意見があった。
一方で、「IT重説は消費者が求めているサービスであり、対面での説明と併用するため問題はない。選択肢が増えることが重要だ」と肯定的な見解も出た。

IT重説を実施した企業や説明を受けた消費者のアンケート結果を見る限り対面と大差なく重要事項説明が行われている。
一部で通信トラブルがあったが、賃貸借契約が結果としてできなくなった事案はなかった。
ただ内見をせずにIT重説で契約するケースが25%あったことが分かった。
内見をしなかった場合、入居後のトラブルが起こりやすいため、IT重説がトラブル発生をけん引してしまいかねかないと懸念する声もあった。
引き続き、消費者向けに実施する入居6カ月後のアンケート結果を検証する必要があるようだ。
社会実験は来年1月末で終了し、2月に3回目の検証検討会を行う。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)