台風19号/インフラ被害広範・甚大/国交省、応急対応に全力

 ◇早急な被害調査・支障除去へ
 台風19号による記録的大雨の影響で、インフラは東海や関東甲信、東北、北陸など広範囲に大きな被害を受けた。河川、道路、鉄道、港湾、住宅・建築物、下水道など多岐にわたるインフラが被災。中でも複数箇所で堤防が決壊し浸水被害を広げた。赤羽一嘉国土交通相は「一日も早い仮の堤防づくりと浸水解消が、暮らしとなりわいの回復に向けて最も重要な第一歩だ」とし、応急対応に全力で取り組むよう指示した。=各面に関連記事
 広範囲で記録的な大雨をもたらした今回の台風19号。気象庁は数十年に1度の大雨災害に最大級の警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」を、12~13日に過去最多の13都県に出した。
 国交省によると、15日午前5時時点で、堤防の決壊は国管理で7河川12カ所、都道府県管理で43河川54カ所。重複箇所を除くと、47河川66カ所に上る。赤羽国交相は15日の閣議後の記者会見で「国管理河川は既に緊急復旧に着手しており、早期に仕上げたい。他の箇所も含め24時間体制で一日も早く復旧できるよう努める」と語った。
 浸水被害については全国からの広域派遣により排水ポンプ車を200台規模に増強し、排水作業に取り組んでいる。千曲川の堤防が決壊し長野市のJR東日本「長野新幹線車両センター」を含めた千曲川沿いの浸水した地域について、赤羽国交相は「(排水作業により)全体の浸水面積約950ヘクタールのうち約4割に当たる約400ヘクタールの範囲で浸水を解消した」と述べた。
 土砂災害も広域で発生している。15日午前5時時点で、19都県で146件(土石流等18件、地すべり10件、崖崩れ118件)の土砂災害が発生していることを確認。まだ調査が終了していないため、「今後、件数が増えるだろう」(国交省水管理・国土保全局担当者)としている。
 道路の被災状況は15日午前5時時点で▽高速道路5路線5区間▽直轄国道6路線10区間▽補助国道33路線53区間▽都道府県道・政令市道369区間。調査や応急復旧を踏まえ、徐々に交通規制が解消してきた。
 国交省は11日午前9時30分に「非常体制」を発令し、同日に「災害対策本部会議」を2回実施。赤羽国交相は「緊急災害対策派遣隊(テックフォース)は自治体の要請を待つことなく支援に取り組む」などと指示した。
 13日の第1回「非常災害対策本部会議」で、赤羽国交相は「被害状況の把握と必要な災害応急対応について、関係機関と一体となって取り組むとともに、一日も早いインフラの機能回復に取り組む」など4点を指示。14日の第3回会議では「テックフォースは浸水状況をはじめ被害調査を早急に進めるとともに、決壊した堤防の緊急復旧、浸水地域の排水作業など国民生活の支障除去のための災害応急対応に全力で取り組む」などの指示を発した。

(日刊建設工業新聞様より引用)