国交省/大都市の低未利用地有効活用へ/公共貢献施設や余剰駐車場の転用促進

 国土交通省は、東京など大都市にある低未利用地の有効活用に乗りだす。都市再生特別地区制度の活用時に求められる公共貢献で整備した公共公益施設の用途変更を誘導し、ニーズが高い託児所などへの転用を促す。大規模ビルの増改築時、床面積に応じた台数分の設置を求める駐車場の付置義務も合理化。設置義務台数を減らし、駐車場の余剰スペースを防災倉庫などに転用しやすくする。=2面に関連記事
 大都市の低未利用地の有効活用策を規定する都市再生特別措置法改正案を今国会に提出する。2月上旬の閣議決定を目指す。今国会で成立すれば公布から3カ月以内に施行する。
 都市再生特措法改正案では、国が指定している都市再生緊急整備地域(計53地域約8592ヘクタール)で都市再生特区制度を活用して開発した大規模ビルを対象に、上限容積率の割り増し措置を受けた代わりに整備した公共公益施設の用途変更を誘導する。具体的には都市計画決定権者の地方自治体に対し、提案を受けてから半年以内に都市計画審議会に付議し、都市計画変更の可否を判断するように義務付ける。
 新たな規定によって、過去の都市再生プロジェクトで多目的ホールとして整備したケースが多い公共公益施設の有効活用を促進。今後の社会的ニーズが高い託児所や観光案内所などへの転用を促す。
 大規模ビルの新築・増改築時に規定されている駐車場の付置義務も合理化する。東京や大阪などの大都市にある大規模ビルで駐車場の稼働率が低い状況に対応。具体的には設置義務台数を決める際の基準にする範囲を、個別のビル単位から都市再生緊急整備地域内のエリア単位に拡大し、正確な需要に見合った台数を決められるようにする。駐車場の余剰スペースは、社会的ニーズが高い防災倉庫やトラックの荷さばきスペースへの転用を誘導する。
 国交省によると、東京には駐車場のピーク時稼働率が35%程度にとどまる大規模ビルがあるという。
 国交省によると、今回の法改正で規定する大都市の低未利用地の有効活用策は、デベロッパーなどの要望が多かったという。より安全で利便性の高い大都市への再構築を目指す。

(日刊建設工業新聞様より引用)