国交省/東京圏の鉄道新設・延伸23計画の概算建設費試算/都心直結線は4400億円

 今後15年間に東京圏で進められる23の鉄道の新設・延伸計画の概算建設費が明らかになった。対象となったのは、交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)の小委員会が4月に公表した答申に盛り込まれた計画で、答申を策定する際の検討資料の一つとして、概算建設費を国交省がまとめた。
 答申で「空港アクセスの向上に資するプロジェクト」に位置付けられている成田空港と羽田空港、都心を結ぶ「都心直結線の新設」(押上駅~泉岳寺駅、延長11キロ)は4400億円、羽田空港と臨海副都心を接続する「羽田空港アクセス線の新設」(田町駅付近、大井町駅付近、東京テレポート駅~羽田空港、同20・5キロ)は3400億円と試算した。
 「国際競争力強化の拠点となる地域へのアクセス利便性の向上に資するプロジェクト」の一つ、「常磐新線(つくばエクスプレス、TX)の延伸」(秋葉原駅~東京駅付近、延長2・1キロ)計画の概算建設費は1400億円と算出したが、東京・中央区が検討を進めてきた「都心部・臨海地域地下鉄構想」(新銀座駅~新国際展示場駅、同4・8キロ、概算建設費2600億円)と一体整備する場合には6500億円に膨らむ見通しとした。
 答申には、今回概算建設費が判明した23計画のほか、「JR京葉線・りんかい線相互直通運転」(新木場駅~葛西臨海公園駅)も盛り込まれているが、同計画だけ概算建設費が明らかになっていない。
 その他計画の概要は次の通り。▽計画名=〈1〉区間〈2〉延長〈3〉概算建設費。
 【空港アクセスの向上に資するプロジェクト】 ▽新空港線(蒲蒲線)の新設=〈1〉矢口渡駅~大鳥居駅〈2〉4・0キロ〈3〉1800億円▽京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅引上線の新設=〈1〉羽田空港国内線ターミナル駅〈2〉0・5キロ〈3〉260億円
 【国際競争力強化の拠点となる地域へのアクセス利便性の向上に資するプロジェクト】
 ▽東京8号線(東京メトロ有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)=〈1〉豊洲駅~住吉駅〈2〉5・2キロ〈3〉1500億円▽都心部・品川地下鉄構想の新設=〈1〉白金高輪駅~品川駅〈2〉2・0キロ〈3〉1600億円
 【地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト】
 ▽東西交通大宮ルートの新設=〈1〉大宮駅~浦和美園駅〈2〉12・0キロ〈3〉400億円▽埼玉高速鉄道線の延伸=〈1〉浦和美園駅~蓮田駅〈2〉13・7キロ〈3〉2200億円▽東京12号線(都営大江戸線)の延伸(単独整備)=〈1〉光ケ丘駅~大泉学園町〈2〉4・0キロ〈3〉900億円▽多摩都市モノレールの延伸(上北台~箱根ケ崎)=〈1〉上北台駅~箱根ケ崎駅〈2〉7・2キロ〈3〉800億円▽同(多摩センター~八王子)=〈1〉多摩センター駅~八王子駅〈2〉16・1キロ〈3〉1900億円▽同(多摩センター~町田)=〈1〉多摩センター駅~町田駅〈2〉13・4キロ〈3〉1700億円▽東京8号線の延伸(押上~野田市)=〈1〉押上駅~野田市駅〈2〉30・5キロ〈3〉5800億円▽東京11号線(東京メトロ半蔵門線)の延伸=〈1〉押上駅~松戸駅〈2〉12・8キロ〈3〉3800億円
 ▽総武線・京葉線接続新線の新設、京葉線複々線化(単独整備)=〈1〉新木場駅~幕張電車区〈2〉23・5キロ〈3〉4700億円▽京葉線の中央線方面延伸=〈1〉東京駅~三鷹駅〈2〉19・5キロ〈3〉4500億円▽中央線の複々線化=〈1〉三鷹駅~立川駅〈2〉13・1キロ〈3〉3600億円▽京王線の複々線化=〈1〉笹塚駅~調布駅〈2〉11・9キロ〈3〉1695億円▽区部周辺部環状公共交通の新設=〈1〉葛西臨海公園駅~多摩川駅〈2〉60・7キロ〈3〉1兆2400億円▽東海道貨物支線貨客併用化=〈1〉東京テレポート駅~東京貨物ターミナル駅〈2〉33・3キロ〈3〉5500億円▽川崎アプローチ線の新設=〈1〉川崎駅~浜川崎駅〈2〉3・3キロ〈3〉300億円▽小田急小田原線の複々線化=〈1〉登戸駅~新百合ケ丘駅〈2〉6・3キロ〈3〉1493億円
 ▽小田急多摩線の延伸(単独整備)=〈1〉唐木田駅~上溝駅〈2〉8・8キロ〈3〉1300億円▽東急田園都市線の複々線化=〈1〉溝の口駅~鷺沼駅〈2〉4・3キロ〈3〉800億円▽横浜3号線の延伸=〈1〉あざみ野駅~新百合ケ丘駅〈2〉6・4キロ〈3〉1700億円▽横浜環状鉄道の新設=〈1〉日吉駅~鶴見駅、中山駅~根岸駅~元町・中華街駅〈2〉34・4キロ〈3〉7700億円▽いずみ野線の延伸=〈1〉湘南台駅~慶応大学SFC周辺〈2〉3・0キロ〈3〉400億円▽同=〈1〉湘南台駅~倉見駅〈2〉8・0キロ〈3〉800億円。

(日刊建設工業新聞様より引用)