基礎地盤コンサル/AIで岩石の種類を自動判定へ/システム開発に着手

 基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、岩崎公俊社長)は、デジタルカメラで撮影した岩石の画像を人工知能(AI)で解析し、種類を特定する自動判定システムの開発に乗りだした。地盤関連工事の前に必要となる岩石の種類判定作業を精度良く効率的に行い、円滑な工事につなげる。試作したシステムで検証した結果、地質技術者と同等以上の判定結果が得られることを確認した。今後、AIの学習データ数と対応岩種を増やし、早期の実用化を目指す。
 基礎や地盤の関連工事で施工法などを決定するには、事前の岩種判別が必要となる。これまで岩石名の判定は技術者の経験に頼ることが多かった。地質を学んだ技術者でも分からないケースが多くあり、同社は地盤関連業務で蓄積したノウハウとAIを駆使し、実務に使える判定システムの開発が必要と判断した。
 同社が試作したシステムは、ソニー製の深層学習プログラムで岩石のデジタル画像(カラーの128ピクセル)を解析する。判定対象は花こう岩、安山岩、泥岩。
 実験では花こう岩60枚、安山岩20枚、泥岩20枚の計100枚をAIの学習データとして使用し、40枚の検証用デジタル画像を使ってAIと地質と土質の技術者の判定的中率を比較した。この結果、AIの判定的中率は88%に対して、2人の地質技術者の的中率は70%と40%、2人の土質技術者は40%と35%だった。AIが専門技術者と同等以上の判定が可能と分かったという。
 同社は今後、実用化に向けて判定システムの高度化を図り、岩石判定Webサービス(アプリ)の展開も視野に入れる。同システムを土質名判定や粒度分析に転用するとともに、コンクリート表面劣化判定などにも応用する考えだ。

(日刊建設工業新聞様より引用)