大阪府/太陽の塔内部の一般公開開く/10月31日に耐震改修着工、施工は大林組

 1970年に大阪で開かれた「日本万国博覧会」(大阪万博)のシンボルで芸術家の故・岡本太郎氏がデザインした「太陽の塔」(高さ約65メートル)の内部が10月29日、一般公開された。31日から耐震改修工事を始めるのを前に、塔を管理する大阪府が実施。46年前の万博当時の姿が見られる最後の内覧会となり、参加者は色鮮やかに浮かび上がったオブジェ「生命の樹」に見入っていた。工事の設計は昭和設計、施工は大林組が担当する。
 大阪府吹田市の万博記念公園にある太陽の塔(高さ約64メートル)は、大阪万博のテーマ館のシンボルとして建てられ、博覧会閉幕後、内部は原則非公開となっていた。今回の「太陽の塔内部再生」事業では、耐震化とともに「生命の樹」を当時の姿に再現する。
 生命の樹は、生命の誕生から人類に至るまでの40億年の生物の進化を1本の木で表現した作品。万博当時は幹や枝にアンモナイトや三葉虫、恐竜など大小292体の生物模型が装飾されていたが、閉幕後にほとんどが撤去され、現在は約30体を残すのみ。工事に合わせ、いくつかの模型を復元し、階段を登りながら生命の進化を鑑賞できるようにする。工事では塔内の上部を鉄骨フレームで補強し、下部は厚さ20センチのコンクリートを増設。腕部分にあるエスカレーターは撤去し、見学用のエレベーターは改修する。塔の周囲の地下を増築し、展示室を設置する。18年3月に常時公開を始める予定だ。
 今回の一般公開は29日と30日の2日間限定。抽選で選ばれた1300人に内部を披露した。寄付金の募集も始めた。
 公開前に着工記念セレモニーが行われ、大阪府の新井純副知事は「優れた芸術作品を未来につなぐ歴史的プロジェクトだ。25年に大阪ベイエリアの夢洲で『健康・長寿』をテーマにした万博誘致を考えており、まずは万博記念公園全体を世界一級の文化観光拠点にしたい」とあいさつ。広報担当アンバサダーを務める河内家菊水丸さんは「25年万博では70年万博ではかなわなかった河内音頭を披露したい」と話し、大阪万博でガイド役を務めた西出孝子さんらが当時の思い出を話した。

(日刊建設工業新聞様より引用)