準大手ゼネコン各社/インフラ点検ロボット開発進む/橋梁・桟橋で新技術相次ぐ

 準大手ゼネコン各社がインフラ構造物の点検ロボットの開発に力を入れている。1日に東京国際展示場(東京都江東区)で開幕した高速道路などの関連技術の展示会「ハイウェイテクノフェア2016」に熊谷組、五洋建設、三井住友建設が出展し、人が近づくことが難しい橋梁の下部や桟橋の下面を安全で迅速に検査できる最新技術、実用間近の技術をPRした。人力で行うよりも効率的に作業できるロボット技術の開発を加速し、施工だけでなく、今後増大する保守・運用事業の受注拡大を狙う。
 建設分野の人手不足の解消や安全性の確保を目的に、多くの企業が「次世代社会インフラ用ロボット」の研究開発を進める中、準大手ゼネコン各社でもインフラ構造物の改修工事を行ってきたノウハウを生かし、高所で作業が行われる橋梁や、狭い場所に入って作業を行う桟橋の点検にかかる負担を軽減する新技術開発を加速している。
 熊谷組が開発を急いでいるのは磁石で走行するロボットを活用した鋼橋点検システム。橋桁下部に張り出したフランジに磁石でロボットを取り付けて走行させながら、鋼橋コンクリート床版のひび割れ画像を撮影する仕組みで、撮影した画像はパソコンに転送され、リアルタイムで展開図を作成できるため、作業効率の改善につながり、高所作業時の安全性確保にもつながるという。画像解析技術の向上や実証試験を行った上で、17年度中の実用化を目指して開発中だ。
 五洋建設は、港湾にある桟橋の上部工下面をラジコンボートを活用し、目視で点検できる技術の開発を進めている。カメラを搭載したラジコンボートを、人の進入が困難な桟橋下部に走らせて劣化状況を撮影する。夜間作業も可能だ。ボートにはジンバルと呼ばれる水平を保つ技術を採用し、波によって撮影がぶれないようにした。現在は実証試験に入り、近く実用化できる見通し。
 三井住友建設が販売に力を入れているのは、13年に開発した橋梁点検用のロボットカメラ。橋梁の高欄や河川敷などに設置し、上下に伸び縮みするポールユニットを用いて最大光学倍率30倍でカメラをズームして点検個所を撮影する。これまでに建設コンサルタントを中心に30台程度を販売した。年内には100万画素のカメラの画素数を200万画素に切り替え、画質の向上を図った新たな機器の導入を目指している。

(日刊建設工業新聞様より引用)