全建/政府・与党に24年度公共事業費増額要望、強靱化中期計画の早期策定も

 全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は、事業量の安定確保を柱とする政府・与党への意見・要望書をまとめた。10月に全国9地区で開いた国土交通省との2023年度地域懇談会・ブロック会議の意見を集約。47都道府県建設業協会の総意として、24年度予算で本年度を上回る公共事業関係費の増額を訴えた。24年4月に適用される時間外労働上限規制を順守するため、週休2日の適正工期設定や作成書類の簡素化なども求めた。
 意見・要望書のタイトルは「国土強靱化・社会資本整備を着実に推進し、地域建設業がその社会的使命をこれからも果たしていくために」。17日に東京都千代田区の経団連会館で開いた理事会で承認し、直後の全国会長会議で報告。会議後、奥村会長ら全建幹部が国交省や与党の幹部を訪ね要望書を手渡した。
 全国会長会議の冒頭、奥村会長は「皆さんからいただいた声が国政の場や建設行政に的確に反映されるよう全力を尽くす。各都道府県協会も関係各所に積極的に声を届けてほしい」とあいさつした。
 要望では地域建設業の安定した経営を後押しする事業量を確保するため、24年度予算で本年度を上回る公共事業関係費の確保や地方への重点配分を強く求めた。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の事業費は23年度補正予算に加え24年度当初予算での別枠計上を要望。今年の国会で法制化された「国土強靱化実施中期計画」の早期策定と、5か年加速化対策を上回る事業量の確保も呼び掛けた。
 時間外労働上限規制への対応では、休日や準備期間、天候など考慮した適正な工期設定を要望。そのため予算の繰り越しや債務負担行為の活用による施工時期の平準化も訴えた。週休2日制工事のさらなる拡充と併せて、休日が増えても技能者の収入が減らないよう公共工事設計労務単価の抜本見直しや補正係数引き上げなども必要とした。
 技術者の長時間労働を招いている膨大な作成書類を簡素化するとともに、公共発注機関による書式の標準化・統一化も求めた。特に設計変更段階では発注者から求められる作成書類が量と質の両面で過剰なケースも多い。発注者が本来作成すべき書類を受注者が代わって行うケースも多く発生しているため、改めて受発注者間の適正な役割分担も指摘した。

(日刊建設工業新聞様より引用)