国交省/中小・中堅の担い手確保育成支援、対象者・業種に広がり/女性向け学校設立

 地域の中小・中堅建設業者を対象に担い手確保・育成を支援する国土交通省の事業で、育成の対象者や業種の幅が広がってきた。女性技術者・技能者の育成に特化した学校の設立や、地域完結型の新人教育プログラムの構築・実施など多彩な計画の実行を後押し。昨年度に支援を受け4月に開校した職人育成塾を、新入社員教育の場としてさらに活用する新たな動きも出ている。モデル性の高い計画を支援することで、各地に多様な取り組みが生まれている。
 15年度に始まった「地域建設産業活性化支援事業」は、相談支援と重点支援の2本立て。重点支援は担い手確保・育成や生産性向上に関するモデル性が高く、2社以上の企業がグループを組んで実施する取り組みが対象。アドバイザーなどが計画策定まで継続的に支援する「コンサルティング支援」と、計画の実行段階で経費を支援する「ステップアップ支援」の2種類の支援策がある。
 国交省は16年度、コンサルティング支援の対象を20件(15年度と合わせて42件)、ステップアップ支援を15件(32件)選定。15年度にコンサルティング支援を受けた案件のうち、16年度にステップアップ支援に選ばれたのは4件。継続的な支援が計画の実行へと前進した形だ。
 15年度にステップアップ支援を受け、4月に開校した全国初の職人育成塾「利根沼田テクノアカデミー」(群馬県沼田市)。16年度は開校支援を受けたグループとは別のグループが新入社員の初期教育の場として活用する計画だ。大工と設備工事業が連携したグループ(代表・関工務所)で、3カ月の訓練カリキュラム・テキストを作成し訓練を実施。新入社員の早期戦力化と離職防止を図る。
 16年度ステップアップ支援は女性を対象にした案件が目立つ。ゼムケンサービス(福岡県)を代表とするグループは、女性技術者・技能者を育成する学校を17年9月をめどに設立する予定。若い女性が知識や経験を積める環境を整える。女性活躍で建設業の労働力不足の解消と活性化に貢献する考えだ。
 大阪府の「塗装業ダイバーシティ経営推進体」(代表・KMユナイテッド)は塗装作業などの労働環境面の改善と、電子マニュアル作成などを通じた育成面の改善を実施。女性を中心に幅広い人材の入職促進・技能伝承に取り組む。
 地域の特性・実情に応じた人材育成に取り組むグループもある。長野県佐久地域の地元企業が連携したグループ(小宮山)は、遠方の研修所や職人育成塾に出張する必要のない地域密着型の実践的な新人教育プログラムを構築・実施。効率的かつ効果的な新人の育成を目指す。
 滋賀県のグループ(田中シビルテック)は、ベテランの除雪作業オペレーターが新人・若手社員に技術を伝える育成塾を開講。今後3年で7人以上を養成する計画だ。

(日刊建設工業新聞様より引用)