国交省/被災市町村向け支援策強化/地域建設業者確保へ包括協定推進

 国土交通省は、大規模災害で被害を受けた市町村のインフラの応急復旧に対する国の支援策を強化する。対策の柱は、地方整備局の所管エリア単位で国と複数の都道府県、市町村が連携して災害時応援協定を地域の建設業者と結ぶ「包括協定」の推進。今後おおむね1年以内に順次具体化し、2~4年以内に包括協定を結ぶ官民合同での大規模・広域訓練を行って連携体制の強化を図る。
 広域単位での包括協定の推進は、災害時にインフラ応急復旧の担い手となる地域の建設業者をより円滑に確保できるようにするのが狙い。地方整備局が調整役として都道府県や市町村からの要望を受け、インフラの被害状況や業者の人員・資機材体制を踏まえつつ効率的・効果的に出動要請を振り分ける。
 従来の災害時応援協定は都道府県や複数の市町村が個別に地域業者と協定を結んでいるケースが多く、被害が広範囲に及ぶと複数の自治体が一斉に同一業者に出動を要請する事例もあり、応急復旧が遅れる懸念もあった。
 このほか、国交省の緊急災害対策派遣隊(テックフォース)の保有装備も充実。無人航空機(UAV)などICT(情報通信技術)を搭載した装備を増強し、災害査定などの作業をより安全かつ効率的に行えるようにする。
 国による市町村へのインフラ応急復旧支援策の強化は、4月の熊本地震で被災市町村の初動対応に遅れが見られたことを教訓に対応する。新たな支援策は年内にも最終決定し、実行に移す。
 国交省によると、15年度時点で自治体の土木技術職員数は00年度より約4万人少ない約14万人にまで減少。迅速かつ的確な災害対応やインフラの維持管理に必要な技術力や経験の蓄積・継承が困難になっている。近年の大規模災害では、被害を受けた市町村が管理するインフラの応急復旧に遅れが生じるケースが相次いでいる。

(日刊建設工業新聞様より引用)