応用地質、日立製作所/地下埋設物情報を3D地図化し提供/施工の安全確保

 応用地質と日立製作所は、ガス管や水道管など地下埋設物の情報を提供するサービスを2020年4月以降に始める。5日に協業の覚書を交わした。地中探査レーダーを使って道路直下の情報を収集。データを平面・3D地図化する。道路工事などでの配管損傷事故をなくし、工期遅延リスクも回避する。ガスや電力といった公益企業、設計会社などへの販売を見込んでいる。
 応用地質が保有するレーダー探査装置、全球測位衛星システム(GNSS)などを積んだワゴン車で道路の地下を探査する。車両は時速60キロで走行が可能。取得したレーダー画像を日立製作所が人工知能(AI)で解析し、埋設物の種類や空洞の有無を判別し地図に落とし込む。これまでは熟練職員がレーダー画像を全て見て空洞の有無を判断していた。AI解析が加わることで、作業時間が約9割削減できる。
 顧客には埋設物情報などを表示した平面地図や3D地図を提供する。大規模な工事を想定し、広域の地図を販売する「受注案件型」と、小規模な工事を想定し限られた範囲の地図を販売する「オンデマンド型」の2パターンを用意。オンデマンド型は数千~1万円での販売を計画している。受注案件型の価格は協議中。まずはガス会社への提供を検討している。
 都市部を中心に道路の地下にはガス管や上・下水道管など多くの埋設物がある。情報を一元管理する行政機関や企業は皆無に等しく、配管図に記載がない管理者不明の配管が残っているケースもある。取り残された配管は工事の妨げや費用増加の原因になるばかりか、災害復旧作業の遅延につながる。正確な埋設物情報を提供することで、計画から施工までの作業の効率化や事故予防、インフラの早期復旧を後押しする。
 5日に都内で会見した応用地質の松井恭ITソリューション企画部長は「社会課題の解決には異業種企業との連携がなければ難しい。インフラの老朽化対策は会社としての責務だ。今後もいろいろな業種の企業と組んで解決していきたい」と今後の方向性を説明した。

(日刊建設工業新聞様より引用)