清水建設/土壌洗浄技術の有効性確認/枯れ葉剤由来、ダイオキシン95%除去

 清水建設は17日、同社の土壌洗浄技術が、枯れ葉剤由来のダイオキシン汚染土壌の浄化に有効なことを確認したと発表した。同社独自の洗浄過程となるフローテーションを行う際に、枯れ葉剤由来のダイオキシンに有効な薬剤を発見したことでダイオキシン除去率が95%に向上。これにより汚染土全体の7割程度を再利用可能な土壌に再生できるという。熱処理による無害化処理と組み合わせると、熱処理単独の場合と比べ、半分程度のコストで無害化処理できる見込みだ。
 ベトナムでは、ベトナム戦争時の枯れ葉剤による汚染土壌が残っており、局地的に汚染レベルが高い「ホットスポット」の存在が28カ所で確認されている。
 同社は、日本国内でのダイオキシン専門の土壌洗浄事業の運営経験などを生かし、14年4月から枯れ葉剤由来のダイオキシン汚染土壌への洗浄技術の適用可能性調査を実施。15年5月からはベトナム国内で簡易実験による洗浄可能性調査を行っている。16年2月からは同国から枯れ葉剤汚染土壌の本格的な洗浄可能性調査の依頼を受け、ホットスポットの一つのビエンホア地区の汚染土壌を日本に持ち帰り、土壌洗浄実験を進めてきた。
 同社の洗浄技術は、粒子の大きさに合わせて水洗いや擦り洗い、泡表面に汚染物質を付着させて除去する同社独自技術であるフローテーションなどを行う。今回の実験では、枯れ葉剤由来のダイオキシンを泡表面に付着しやすくする薬剤を発見したことでダイオキシンの除去率が向上。汚染土壌全体の65~70%を占める1グラム当たり2万ピコグラム-TEQの汚染土壌に含まれるダイオキシンを95%除去でき、全体の7割程度を再利用可能な1グラム当たり1000ピコグラム-TEQ未満の土壌に再生できることを確認した。
 同社は今後、ベトナム政府や関係者に土壌洗浄技術の有効性への理解を促すとともに、パイロットテストの実施や大規模な浄化事業の実施などの可能性について広く検討を進めていく考え。
 同洗浄技術を10月19~21日に東京都江東区の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開かれる「2016土壌・地下水環境展」に出展する。

(日刊建設工業新聞様より引用)