16年上期の建設業倒産、8年連続マイナス/地区別では底止まりも/商工リサーチ集計

 東京商工リサーチがまとめた2016年度上半期(4~9月)の建設業の倒産(負債1000万円以上の企業倒産)は806件(前年同期比4・7%減)と、年度上半期としては09年度以降8年連続で前年同期を下回り、1990年度(719件)以来の低水準にとどまった。金融機関が中小企業の返済猶予の要請に柔軟に応じていることに加え、公共事業や各種メーカーの設備投資の堅調さにも支えられて倒産は抑制されているという。
 負債総額は874億2800万円(0・4%増)で、年度上半期としては3年ぶりに前年同期を上回った。負債50億円以上の大型倒産は1件(前年同期はゼロ)発生した。
 倒産件数を地区別に見ると一様ではなく、同社は「倒産減少の底止まりをうかがわせる」としている。当面、倒産が急増する要因は見当たらないものの、公共工事量の地域間格差の広がりや、大規模工事を中心とした着工時期のずれ込みなどを背景に、地方の建設業を中心に先行き懸念が高まっているとも指摘している。
 上半期の倒産件数を業種別に見ると、総合工事業が398件(0・2%減)、職別工事業が247件(11・1%減)、設備工事業が161件(4・7%減)。原因別では、受注不振(販売不振)が478件(4・7%減)と全体の約6割を占め、既往のしわ寄せ(赤字累積)が186件(7・4%減)、運転資金の欠乏が48件(4・3%増)、事業上の失敗が36件(71・4%増)、他社倒産の余波が23件(20・6%減)と続いた。
 一方、帝国データバンクが同日発表した上半期の建設業倒産は808件(0・6%増)だった。

(日刊建設工業新聞様より引用)