戸田建設/重機に緊急自動停止装置導入/センサーで感知、作業員との接触防止

 戸田建設が、建設現場で重機と人との接触事故を防止するため、ICT(情報通信技術)を活用した新しい対策の導入を進めている。建機レンタルのアクティオ(東京都中央区、小沼直人社長)が開発した緊急停止装置で、バックホウに赤外線発光機、作業員のヘルメットに赤外線センサーを装着。作業員がバックホウに接近し過ぎると、バックホウが自動で動作を停止する。事故を未然に防ぐことができ、安全性の向上につながっているという。
 建設現場では、重機のオペレーターが作業に集中するあまり、周囲の作業員の存在を見失うケースや重機の旋回動作などにより方向感覚を失ってしまう場合があり、作業員が重機に接触したり駆動輪に巻き込まれたりする事故が多く発生している。
 警報を鳴らす従来の安全装置は、重機の機械音が大きい上に作業員が耳栓をしていることもあり、本来の機能を発揮できないことも多いのが現状という。このため、重機が備える非常停止機構を利用した緊急停止装置の採用を決めた。
 重機の運転室に緊急停止装置本体(親機)を取り付け、周囲の作業員はヘルメットセンサー(子機)を付ける。重機と人との距離は3~6メートルの範囲で設定でき、5台までは混線せずにシステムが機能する。
 設定範囲に人が入ると、親機は停止と同時に警報音を発する。センサーは警報音と振動で注意を促す。互いに接近に気付くことができ、確実に事故を防ぐことができる。範囲内に人がいる間は停止を継続し、範囲外に出ると作業を再開できる。
 1日に東京都内の建築工事現場でデモ施工が行われ、報道関係者らに公開された。この現場では、既存ビルの解体が終わり、基礎の掘削工事に使用しているバックホウ2台に装置を導入している。
 平岡卓志建築工事統轄部機材部長は、「重機作業では作業員の立ち入りを禁止する範囲を設定し、合図者も置いているが、その合図者が範囲内に入ってしまい、接触するケースも少なくない。この装置はそうした事故も防ぐことができる」と話す。
 アクティオの緊急停止装置の導入はゼネコンでは初めて。昨秋から戸田建設が施工する全国の土木・建築現場で導入を拡大している。今後はカメラ型など次世代センサーに切り替え、ヘルメットをかぶっていない第三者との接触事故の防止にも役立てるほか、さまざまな重機への応用も検討していく。

(日刊建設工業新聞様より引用)