デジタルで建設をDXする・32/樋口一希/設備設計支援アプリとRebroの連携

 三菱電機は、建築設計を支援するソフトウエアMEL-BIM〈空調・換気〉シリーズの「空調・換気機器設備設計支援アプリケーション」と、設備関連領域に広く普及している建築設備専用CAD「Rebro(レブロ)」(NYKシステムズ)とのデータ連携を12月から開始する。

 □Rebroとのデータ連携により設計業務の不要な手間を削減し業務の効率化向上に貢献□

 建設業界では人手不足が大きな課題となり、業務全体の効率化が求められているが、2次元図面では配管位置など設計者の意図が施工者に正しく伝わらないことがあった。その結果、多くの調整作業が発生するなど建設現場の生産性の悪化要因となっており、それらの問題解決のために3次元建築物モデルを用いるBIMと設計支援ソフトウエアの活用が進んでいる。
 BIMは建築物の各種部材や設備の材質・サイズなどの属性情報を追加した3次元建築物モデルを用いる設計手法で、設計会社や施工会社、管理会社などの関係者間で建築物のデジタル情報の共有が容易となり、企画、設計、施工、維持管理などの建築業務全般の効率化を実現する。
 以前から三菱電機はBIMに対応する空調・換気機器のBIMオブジェクトを提供、合わせて空調・換気機器の設計の効率化を支援する建築設備設計者向けの「空調・換気機器設備設計支援アプリケーション」を開発し、2020年4月からウェブサイトを通じて公開していた。今般の空調・換気機器設備設計支援アプリケーションとRebroのデータ連携によって設計業務の不要な手間を削減し、業務の効率化向上に貢献する。
 今後は空調・換気機器のBIMオブジェクトのさらなる拡充を図るとともに、各種ソフトウエアを提供する企業との連携を強化することによって業務の効率化向上により一層貢献していく。

 □空調・換気機器の自動選定+機器リストや製品仕様書などの出力で業務の効率化を実現□

 空調・換気機器設備設計支援アプリケーションを用いることで、膨大な技術資料の参照が必要とされる設備設計業務において、空調・換気機器の自動選定に加え、機器リストや製品仕様書などの出力も可能となり業務の効率化が実現する。
 空調機器の選定では、設計者が計算した熱負荷と配管の長さを基に最適な機器を自動選定するので、人手による煩雑な配管長補正計算が不要となる。換気機器の選定では、換気に必要な風量と静圧を基に適正な機器を自動選定し、静圧風量曲線(※)の確認によって最適な機器の絞り込みが可能となっている。
 (※)静圧風量曲線=換気送風機の性能を示すもので、換気送風機が送る空気の圧力と量の関係を表す。P-Q曲線と呼ばれる。

 □Excel形式によりRebroと空調・換気機器設備設計支援アプリケーションを連携□

 空調・換気機器設備設計支援アプリケーションとRebroの連携では、Rebroが出力する機器選定に必要な部屋情報をExcel形式で空調・換気機器設備設計支援アプリケーションに取り込むことで部屋情報の入力の手間を削減している。
 空調・換気機器設備設計支援アプリケーションで選定した空調・換気機器のBIMオブジェクト(※)はRebroの3次元建築物モデル上に自動配置され、人手によるBIMオブジェクトの選択や機器配置などの設計の手間削減が可能となっている。
 (※)空調・換気機器のBIMオブジェクト=設備・機器の3次元の形状情報と設備・機器の仕様などの属性情報を統合したもの。
 (毎週木曜日掲載)
 〈アーキネットジャパン事務局〉

(様より引用)