ゼネコン協力会トップに聞く・11/清水建設全国連合兼喜会・中橋博治会長

 ◇対等の立場で過大を提言
 設立から58年がたち、全国で1274社が所属する清水建設全国連合兼喜会。そのルーツは明治期にさかのぼるという。120年以上の年月で培った信頼関係をベースに、建設業を取り巻く課題の解決に向けて清水建設と対等の立場で議論を戦わせる。
 --兼喜会の特徴は。
 「一番は、さまざまな問題に対してわれわれが清水建設に提言できる協議の場があるということ。ものづくりや人づくり、安全確保、品質確保、休みが増えつつある中での工程管理、コンプライアンス(法令順守)などに関して、われわれが清水建設のトップに直接提言ができる場が定期的に設けられている。全国総会には清水建設の社長が必ず出席してくださり、われわれとの連携に非常に力を入れていただいていると感じる。そうした中でわれわれも清水サプライチェーンの一翼を担っているという自覚を持っている」
 「もう一つは、取引業者の次の経営層を育てようということで青年部活動に力を入れていること。全国すべての兼喜会に青年部があり、どこも頻繁に活動している。年に1回は後継者育成研修として全国の会議もあり、清水建設の経営トップと交流する場が設けられる」
 --注力している取り組みは。
 「本年度に入り、東京兼喜会の正副会長と清水建設の調達・見積総合センターで、週休2日に関する勉強会を立ち上げた。年内は月1回ペースで会合を開いて課題を洗い出し、年明けからは具体的な取り組みに着手しようと考えている。業界の担い手不足に端を発した問題だが、トータルの働き方改革はこれから絶対に必要で、今が取り組むべき時期だと感じている。井上和幸社長が日本建設業連合会(日建連)の週休二日推進本部長ということもあり、他社に先駆けてスピード感を持って取り組もうと検討を進めている」
 --実現に向けた課題は。
 「作業員の収入を確保することがわれわれの第1目標だと思っている。入職者を増やそうと処遇改善に取り組んでいるのに、作業員の収入が減って、さらに人手不足を招いては本末転倒だ。収入の確保では、日給制から月給制への転換が必要と言われるが、それには工事発注の平準化と適正な工期設定が不可欠だ。その点は、元請と下請だけで何とかできる問題ではない。発注者を含め、大げさに言うと日本社会全体の意識改革がないと一歩も進まないと思う。ただ、その提言をするためには、生産性の向上などわれわれがやるべきこともまだまだあると思う」
 --生産性向上にはどう取り組む。
 「現実問題として作業時間が減るのだから、それをカバーするための技術・工法の改善や個々の作業員の技術力向上はもちろん、現場では朝礼時間を短くするなど、少しでも施工時間を確保するための工夫をしている。その考えでいくと、多能工化も検討すべき手段の一つになるだろう。無理な職種もあるが、できる職種もある。今は内装関係の多能工化について、清水建設と一緒に取り組んでいる」。
 (なかはし・ひろじ。中橋工務店代表取締役)
=おわり

(様より引用)